マイルドヤンキー

最近チラチラ耳にするんですが、どうやら日本には『マイルドヤンキー』というヤンキーの新種がいるようです。語感のやわらかさがたまらないこの『マイルドヤンキー』という存在はマーケティングアナリストの原田曜平(博報堂 ブランドデザイン 若者研究所)が、2014年1月に定義した概念だそうです。彼が2014年5月12日に放送されたNHKの「NHKニュースおはよう日本」にVTRで出演した際にマイルドヤンキーについて語った事で言葉が浸透したようです。原田氏はこのマイルドヤンキーによく見られる傾向を次のように上げています。

マイルドヤンキーの特徴

以下の項目はマイルドヤンキーの最たる特徴であり、これらに当てはまる数が1~2個ならもしかしてマイルドヤンキー?3~4個ならかなりマイルドヤンキー。そして5つ全てが当てはまると完全なマイルドヤンキーとのことです。

マイルドヤンキーチェックリスト

  • 車(特にミニバン)が好き
  • EXILEが好き
  • 地元(家から半径5km)から出たくない
  • 「絆」「家族」「仲間」という言葉が好き
  • ショッピングモールが好き

みなさんはいくつ当てはまりましたか?自分はヤンキーのつもりは無かったのに数個当てはまってしまったので頭を抱えてます。まさか朝っぱらからこんな大雑把なチェックリストでマイルドとはいえ、ヤンキーの疑いをかけられるとは…。

また、不動産投資家の芝山元は以下のようにも述べています。

  • 生まれ育った地元指向が非常に強い(パラサイト率も高い)
  • 郊外や地方都市に在住(車社会)
  • 内向的で、上昇指向が低い(非常に保守的)
  • 低学歴で低収入
  • ITへの関心やスキルが低い
  • 遠出を嫌い、生活も遊びも地元で済ませたい
  • 近くにあって、なんでも揃うイオンSCは夢の国
  • 小中学時代からの友人たちと「永遠に続く日常」を夢見る
  • できちゃった結婚比率も高く、子供にキラキラネームをつける傾向
  • 喫煙率や飲酒率が高い

つまり彼らは小さい頃からの長い付き合いである地元友達と集っては車(ミニバン)で移動。車内に鳴り響くのはEXILE、もしくは同じ事務所のアーティストの楽曲。そうして辿り着くのは近場のイオン。だってイオンなら何でも揃うじゃん。イオン最強!ウェーイ!!…ってところでしょうか。

郊外の商業施設では地元愛の強いマイルドヤンキーをターゲットにした地元愛グッズ(地名Tシャツなど)を販売したところ、狙いが当たり大ウケ、大成功を収めたという話もあります。このようにマイルドヤンキーはマーケティングを考える人間達からは新たな金脈として注目されているようです。それにしてもマーケティングアナリストや不動産投資家等のそうそうたる頭脳派のメンツがヤンキーの生態についてまじめに分析し、語っている様はちょっと笑えますね。

マイルドヤンキー論への反論

このようにマイルドヤンキー論が世間に浸透していく一方で、その状況に異を唱える人々も出てきています。作家の堀田純司は、マイルドヤンキー論について、“あくまで東京の人間が地方の人間の生活を改めて語っているだけ”とした考えを示しています。

マイルドヤンキー論では様々な特徴をまるで侮蔑するかのように上げています。“地元志向で世界は半径5キロ”についてはあたかも地元に居続ける事が悪い事のように語られていますが、地元志向の何がいけないんでしょう?地方の若者はみな東京に憧れて上京して当然なのか?とし、“仲間を大切にする 礼儀正しく優しい”点だって何も問題ないだろうとしています。これらはごく一般的な地方在住者の特徴であり、まるで「地方出身者は、みな上京志向で、ハイソな娯楽を楽しみ、仲間は裏切り、傍若無人な人間にならないといけない」という暗黙の了解でもあるのか?というように語っています。郊外では当たり前の「日本のリアル」な面を、都心で暮らす人間が勝手に見失い、最近になってまた新しく発見したような気になっているだけなのでは?と違和感を表明しています。

そう考えると、この『マイルドヤンキー論』が郊外の人間が地元から出ない・知らない事を見下し、ディスっているかのように聞こえます。しかし逆に山手線の内側しか知らないエリート人間こそ、東京の外の事を何も知らないんじゃないかという考え方もできてしまうのです。マイルドヤンキーという考え方は何でも東京が中心・東京に倣う事がルールというような偏った考え方の東京人が産んだとも言えるでしょう。ただこのマイルドヤンキーと対極な存在である都心のエリート達は、全く違う存在だからこそ特徴を明確に洗い出し、マーケティングに活用できるのだとも思います。

地方の若者はヤンキーなのか?

上述の通り、マイルドヤンキーの実態は地方に暮らす若者のありふれた姿なのではないかという疑惑が浮上してきました。では地方の若者とはマイルドながらも皆ヤンキーなのでしょうか?このヤンキーという言葉を持ちだした事には疑問を感じざるを得ません。都心のエリート達が勝手に地方の一般的な生活スタイルを異質な物と取り上げ、ヤンキー呼ばわりするのは非常に失礼な事だと思います。ヤンキーという言葉は誰しも聞いた事のある言葉なので、浸透しやすい言葉ではあると思います。マイルドヤンキーという言葉は下手したら流行語大賞にでもノミネートされてしまうのではないでしょうか。だがその意味は近年の若者の特徴をごちゃごちゃ混ぜ込んだだけのようにも思えます。ヤンキーとは「周囲を威嚇するような強そうな格好をして、仲間から一目おかれたい」思考を持った若者の事です。それを踏まえると特徴的にもマイルドヤンキーはもはやヤンキーでも何でもないのではないでしょうか?マーケティングの観点からこの層を分析し、市場の活性化に繋げるのはとても良い事とは思いますが、名前はもう少し考えるべきだと思います。

疾走、ヤンキー魂。で
ヤンキーライフ
送っちゃうんで
夜露死苦